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アイシンが提供するデマンド型交通が東海地方で広がってきている気がする

地方自治体にとって地域交通という課題は大きなテーマですよね。特に人口が10万人も満たないような街は、バスの赤字路線を継続させるために行政が支出負担を続ける…。これが中核市レベルなら、需要が見込めるので名鉄バスなどの民間事業者が勝手に地域交通を担ってくれる。……なんて思っていた時期が私にもありました。実際は、岡崎市や豊田市のような中核市でも、平成の合併で民間業者がカバーしづらい人口が希薄な地域を吸収したことで地域交通の課題を抱えているようです。

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アイシンの提供するサービス

最近、地域交通の課題を解決するため、株式会社アイシンが提供する交通サービス「チョイソコ」が広がってきています。もしかしたら、皆さんがお住まいの自治体でも導入がされているかもしれません。なんとこの取り組み、始まりは豊明市なんです。アイシン株式会社は刈谷市に本社を置くトヨタグループの大企業。チョイソコのプロモーション動画では、豊明市内の映像が使用されています。

そもそもデマンド型とは?

デマンド型交通は、バス停で待っていれば定期的にバスがやってくるような路線定期型の交通とは違い、利用者の予約に応じる形で、運行経路や運行スケジュールを柔軟に運行する地域公共交通のことです。過疎地域でありがちな、誰も乗っていないバスを走らせる、といった悲しい光景が無くなります。公共交通の空白地帯に、採算の取れない新しい路線を設定するよりは、このデマンド型交通を導入するほうがハードルは低いですよね。

「チョイソコ」では民間企業が事業主体となる

例えば、扶桑町全域をカバーしている「チョイソコふそう」では、犬山タクシーが運行を担当しています。また、運行エリア内にあるドラッグストアや病院などがスポンサーとなって、出資する代わりに目の前にバス停が設置されるなど、地元を盛り上げる、といった視点からも良いシステムっぽいですね。

  • 地域の交通不便を解消し、主に高齢者の外出促進に貢献するデマンド型交通
  • 民間事業者(株式会社アイシン)が運営主体となり、エリアスポンサーによる協賛を得ることで採算性を向上
  • 行政と民間事業者が連携して、高齢者の健康増進につながる外出促進の"コト"づくりを推進

豊明市ホームページより引用

ホームページでは、先進事例である豊明市のケースが紹介されていたので興味深く読ませてもらいました。気になったのは、利用者の8割近くが70代や80代の高齢者であったことと、乗り合いの平均人数が1.7人前後であったことです。そして利用目的の多くは医療と買い物でした。こうしたシステムがあることで、安心して免許返納ができるのかも。

東海地方でチョイソコが導入されている自治体

チョイソコHP(https://www.choisoko.jp/)より引用

2023年1月時点で調べた結果です。アイシンが刈谷市の企業という事もあって、全国の中でも東海地方は導入自治体が多い印象を受けます。

  1. 愛知県扶桑町(チョイソコふそう)
    https://www.town.fuso.lg.jp/kurashi/1003056/1003222.html
  2. 三重県明和町(チョイソコめいひめ)
    https://www.mie-toyota.co.jp/lp/choisokomeihime
  3. 豊田市 上郷・末野原エリア(チョイソコにこにこバス)https://www.city.toyota.aichi.jp/kurashi/koutsu/bus/1046060.html
  4. 岐阜市 柳津、日置江、鶉地区(チョイソコカラタン)
    https://www.choisokocalatan.com
  5. 愛知県幸田町 豊坂・深溝小学校区(チョイソコこうた)
    https://www.town.kota.lg.jp/soshiki/2/8262.html
  6. 岡崎市 六ツ美中部学区(チョイソコおかざき)
    https://www.city.okazaki.lg.jp/1550/1551/1040/p027273.html
  7. 各務原市 須衛・各務・八木山エリア(チョイソコかかみがはら)https://www.city.kakamigahara.lg.jp/life/kotsu/1009214/1009284.html
  8. 豊明市(チョイソコとよあけ)
    https://www.choisoko.jp/toyoake/

デマンド型交通で大切なこと

ここからは完全に個人の見解ですが、自治体がデマンド型交通を運用していくにあたって、何が大切かを考えました。いろいろな要素があるでしょうが、やはり一番重要でかつ難しいのが、制度のPRだと思います。バス停で待っていれば迎えが来る定期運行型の路線と比べ、デマンド型では基本的には事前に会員登録をして、電話やインターネットなどで予約の手続きが必要になってきます。地域住民みんなが慣れてしまえば、非常に効率の良い運行システムだとは思いますが、初めて利用してみるまで、慣れるまで、この辺りのサポートが無いと定着が難しい気がします。運行自体は民間企業に任せるにしても、広報や周知は行政の頑張りどころですね。

東海地方はデマンド型交通が向いている?

実際、チョイソコも東海地方での導入自治体は多かったですよね。そこで東海地方とデマンド型交通について、少し考えてみました。路線バスが赤字となり、民間の企業が撤退するような街は、大きく分けて次の2パターンがあると推測されます。

  1. そもそも街の人口規模が小さい・少子高齢化が進み過ぎており、通学・通勤需要が少ない
  2. 街の規模は大きめだが、昔から交通網が弱く、マイカーが普及しすぎて公共交通機関が使用されず、マイカー利用を想定した街づくりとなっている

このうち、②のパターンが東海地方には多いと私は考えます。特に愛知県は人口は多いですが、東京や大阪に比べると鉄道網が弱いと言われます。実際、マイカー通勤率が非常に高い都市圏となっています。このパターンにおいては、移動の需要は有る、ただ、その需要をマイカーに取られている状況だと言えます。定期路線型交通とデマンド型交通では、デマンド型交通の方が融通が利く分マイカーに近いと言えるので、上手にPRすればマイカーが無くても暮らせる街として住民満足度が上がるかも?!

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