名古屋における北のターミナルは本当に大曽根駅なのか?
日本三大都市の一つである名古屋市。首都圏や近畿地方に比べ、通勤や通学に鉄道を利用する割合が低いことでも知られています。ただ、そうはいっても名古屋市中心部へ行けば、多くの乗客が地下鉄駅から出てくる風景を見ることができます。名古屋都市圏で一番乗降客数が多い名古屋駅は、東京都にある駅を除けば、大阪駅、横浜駅に次ぐ全国でも屈指のターミナル駅となっています。
今回はターミナル駅について考察することで、名古屋都市圏における公共交通機関を利用して都心部へ向かう人の動きを明らかにしていく、という意気込みで執筆してみます。ぜひ最後までお付き合いください。
現状、名古屋でターミナル駅と言われているのはどこなのか
では現在、名古屋でターミナル駅とされているのはどんな駅でしょうか。名古屋市をはじめ大都市には、ターミナル駅がいくつも存在するケースが多いです。諸説あるのでしょうが、確実にターミナル駅と言われているのは3駅、怪しい駅が1駅です。
巨大ターミナルの名古屋駅
まずは中京圏におけるターミナル駅でもある、名古屋駅。東海道新幹線も全ての系統が停車し、乗り入れる路線数も愛知県で一番多い駅となっています。名古屋市中村区に位置し、西のターミナル駅とされています。もう規模が大きすぎて、西とかの問題では無い気がしますが。
南のターミナル駅は金山駅
続いては南のターミナルとされている、金山駅です。JR東海の中央本線と東海道本線のほか、名鉄名古屋本線と名古屋市営地下鉄の名城線・名港線が乗り入れており、乗り換え駅として機能しています。今でこそ乗り換えが便利にできる金山駅ですが、現在の形になったのは平成元年。割と最近なんです。現在では、南のターミナル駅として、なくてはならない地位を築き上げています。
北のターミナルとされている大曽根駅
名古屋と金山駅と比べると規模は小さくなりますが、大曽根駅が北のターミナル駅といわれています。ここはJR東海の中央本線、名鉄瀬戸線、地下鉄名城線、ゆとりーとラインが乗り入れており、交通結束点となっています。名古屋市東区と北区の狭間に駅が位置しています。
東の玄関口・千種駅
西のターミナルは名古屋駅、南は金山駅、北は大曽根駅と聞くと、東はどこか気になります。自分の感覚とは別に、世間で言われている東のターミナルはあるのか調べていると、千種駅のウィキペディアに「東の玄関口」という文言を発見。千種駅は乗換駅ではありますが、JR東海の中央本線と地下鉄東山線しか乗り入れていません。ターミナル駅とまで言えるかは怪しいですが、一応東側は千種駅をあげておくとします。
仮説:大曽根駅は北のターミナルでは無いのではないか
さて、世間で言われている4方角のターミナル駅を確認しました。その上で、私は言いたい事があります。
名古屋市の北に位置する主要な都市、各務原市や犬山市、江南市、岩倉市、小牧市などに住むの人が名古屋中心部へ向かう場合、大曽根駅って使わなくない?
確かに位置としては名古屋市の北にはありますが、果たして駅の機能面で、北のターミナルという位置付けが正しいのか疑問に思いました。次章からは、この疑問の解決に向けて分析を行い、自分で納得のいくターミナル駅と方角の結論を導いていきたいと思います。
人口移動を八方位で考えてみる
まず分析にあたって、名古屋市へ出入りする人の大まかな流れを、細かく八方位に分けて考えてみます。名古屋市の南西は伊勢湾なので、八方位のうち南西方面は省略します。名古屋市から外に向けて多くの路線が伸びていますね。ただ、東京や大阪であれば、私鉄のバリエーションがもっと多いので、さらに多くの路線があると思います。三大都市の中では控え目な路線図です。
それでは、これらの名古屋へやってくる人が利用する路線について、西方面から順に詳しく確認していきたいと思います。
西方面の路線
JR東海 関西本線
近鉄名古屋線と競合関係にありますが、利用客は近鉄の方が多くなっています。路線の持つ役割や機能は近鉄名古屋線とほぼ同じと考えられますので、次の近鉄名古屋線の項目で一緒に確認します。
近鉄 名古屋線
名古屋市から見て西の方角に住む人たちが名古屋市中心部(栄・伏見など)へ通勤する場合、まずはJR関西本線か近鉄名古屋線を利用するケースが殆どでしょう。これらの路線は中心部へ直接乗り入れることは無いので、名古屋駅で地下鉄に乗り換える必要がでてきます。よって、西方面から来る人の乗換駅は名古屋駅ということを押さえておきます。
なお、名古屋市中村区と中川区の狭間に位置する八田駅は、近鉄・JR・地下鉄東山線の3路線が乗り入れています。ただ、地下鉄東山線へは名古屋駅でも乗換可能なうえ、JRと近鉄のほとんどの速達列車が通過することから、ターミナル駅としての機能はほぼ無いものと推測されます。
北西方面の路線
JR東海 東海道本線
都市雇用圏で見ると名古屋都市圏は一宮市までとなっていますが、大垣駅から豊橋行きの新快速・特別快速が運行されていて、岐阜県からの通勤も現実的です。名鉄名古屋本線との大きな違いは、岐阜市を超えて瑞穂市や大垣市の顧客も取り込んでいる点です。
そんな東海道本線ですが、北西から乗車してきた場合に地下鉄乗換駅となるのは、まずは名古屋駅、そして金山駅です。伏見駅や丸の内駅、栄駅に向かう場合は名古屋駅乗換が最短ルートとなるので、多くのケースでは名古屋駅下車になるでしょう。地下鉄名城線のみが乗り入れる矢場町駅などを目指す場合は、金山駅まで乗車して乗り換えるケースもあると思います。
名鉄 名古屋本線
概ねJR東海の東海道本線と似た役割を担う路線ではありますが、尾西線があることで一宮市の広いエリアで乗客を獲得可能です。ただ、名古屋市中心部へ向かう場合の選択肢は東海道本線と同じで、名古屋駅か金山駅で乗り換える必要があります。
名鉄 津島線
津島市やあま市など、海部地域の中・北部に住む人が名古屋へ向かう際に利用される路線です。日中でも1時間に4本の列車が運行されており、そこまでローカルな路線ではありません。津島線は半数程度の列車が須ヶ口駅から名古屋本線と合流して名古屋方面へ直通運転しており、乗り換えなしで名駅まで行くことが可能です。よって、栄や伏見など中心部への行き方は名古屋本線と同じとなります。
北方面の路線
名鉄 犬山線
尾張北部の路線といえば、この名鉄犬山線です。他者との競合がなく、名鉄では貴重なドル箱路線としても知られています。岐阜県各務原市の新鵜沼駅から、速達タイプの列車が運行されており、その利便性もあって沿線には岩倉市や北名古屋市などのベッドタウンが発展しています。犬山駅から分岐する広見線から直通してくる列車もあり、遠くは岐阜県可児市からも通勤・通学が現実的に可能な範囲となっています。
この路線で特徴的なのは、地下鉄鶴舞線への直通運転が行われていることです。名古屋へ向かう途中、上小田井駅から分岐して地下区間に入ります。基本的には岩倉駅から、朝は犬山からも直通列車が運行されています。よって、犬山線利用客の一部は鶴舞線を利用して丸の内駅、伏見駅などの中心部へ向かいます。鶴舞線との分岐後、犬山線は枇杷島分岐点で名古屋本線と合流するため、合流後における人の流れは名古屋本線と同じです。
鶴舞線直通はとても便利ではありますが、上小田井駅に特急が停車しないことや、鶴舞線では栄駅へ行けないことを考えると、犬山線におけるメインの乗換駅はやはり名古屋駅と考えられます。次点で上小田井駅、そして金山駅ですね。降りる駅を選択すれば、地下鉄の東山線・名城線・名港線・鶴舞線・桜通線に乗り換えができる利便性でハイクラスな路線だと言えるかもしれませんね。
名鉄 小牧線
地下鉄上飯田線が2003年に開業するまでは、名古屋中心部へ向かう人は上飯田駅で降車し、歩いて平安通駅まで向かうか、バスを利用するかという不便な状態でした。過去には小牧駅と桃花台を結ぶピーチライナーが運行されていましたが、営業不振で廃線となっています。また、小牧駅から先の名古屋方面は複線であるものの、現在は普通列車のみしか設定されておらず、小牧線は全体的にローカル線といった感じで主要な路線とは言えません。現在でも、尾張北部の主要な路線は犬山線で間違いないでしょう。この小牧線を利用すると、平安通駅で必ず地下鉄名城線への乗換が必要になります。厳密に言えば上飯田駅からが地下鉄(上飯田線)ですが、常時小牧線と一体化して運行がされており、乗換駅にはなっていません。
北東方面の路線
JR東海 中央本線
春日井市や岐阜県東濃地域の通勤・通学路線として、非常に需要が大きい路線です。遠くは長野県境の中津川市まで快速が運行されています。特筆するべきなのは、高い収益が見込める路線であるのに他社の競合路線が無いこと。特に岐阜県東濃地域の需要を独り占めしている状態です。東濃地域の中でも、多治見市は名古屋都市圏に組み込まれており、岐阜県でありながら名古屋のベッドタウンとして発展しました。
この中央本線で通勤・通学する場合、乗り換えの選択肢はいくつもあります。最初の乗換駅は大曽根駅で、地下鉄名城線と名鉄瀬戸線に乗り換えが可能です。市役所駅や東大手駅などへ向かう公務員はこの駅で乗り換えとなるでしょう。栄駅や伏見駅に向かう場合は千種駅で地下鉄東山線へ乗り換えとなります。名古屋の大繁華街である栄へは千種駅乗り換えが最短ルートであるため、買い物客や観光客にとっても千種駅の需要は高そうです。次の鶴舞駅では地下鉄鶴舞線へ乗り換えができますが、乗り換えて向かう先でめぼしい駅は大須観音駅くらいしかなく、乗り換え需要はかなり小さいでしょう。最後に、名港線沿線へ向かう場合は大曽根駅よりも金山駅で乗り換えた方が早く辿り着けるため、金山駅も一定の乗り換え需要がありそうです。
ゆとりーとライン
名古屋市外から乗客を運ぶ路線とは言えませんが、宅地開発が進みベッドタウンとなっている名古屋市守山区の志段味地区から大曽根までを結ぶ路線です。世にも珍しいガイドウェイバスという形態で運行しており、バスと鉄道を合わせたような路線です。この特殊性はまた別の機会に話すとして、ゆとりーとラインは大曽根駅止まりなので必ず乗り換えることになります。
名鉄 瀬戸線
この路線は名鉄では珍しく名古屋駅へ乗り入れしない盲腸線となっています。では起点はどこかといえば、名古屋の繁華街栄に乗り入れています。さらに官公庁街となっている東大手駅を経由するため、乗り換え無しで名古屋市中心部へ到達できる通勤路線として人気が高い路線です。当然ながら、尾張旭市をはじめとする沿線自治体はベッドタウンとして発展しています。瀬戸線で名古屋へ向かう人は、ほとんどの場合、大曽根で乗り換える必要はなく、伏見などへ向かう場合は栄で乗り換えるでしょう。
東方面の路線
東部丘陵線(リニモ)
輸送力が小さすぎるため、路線をピックアップするか迷いました。しかし、名古屋から東へ向かって伸びる貴重な路線のため他の路線同様に分析していきたいと思います。東部丘陵線は、豊田市に位置する愛知環状鉄道との乗換駅である八草駅から、長久手市を抜けて地下鉄東山線の東端である藤が丘駅までを結ぶ路線です。名古屋市へ向かうための路線というよりも、東部丘陵線沿いに位置する大学などへの通学路線的な側面があります。どちらにせよ、直通運転は無いので藤が丘駅が必須の乗換駅となります。
名鉄 豊田線
豊田市の中心駅である豊田市駅から日進市の赤池駅までを結ぶ比較的新しい路線です。そのため、中京圏では珍しく踏切が無い路線となっています。そんな状況でありながら、速達タイプの運行は設定されておらず、豊田から伏見や丸の内までは乗り換えが必要ない代わりに大変時間がかかります。乗り換えが必要ないのは、豊田線の列車はすべて地下鉄鶴舞線へ直通運行しているからです。鶴舞線では行くことの出来ない栄駅や市役所駅へは、上前津駅で名城線に乗り換える必要があります。なお、上前津駅は地下鉄から地下鉄への乗り換えなので、今回のターミナル駅考察からは外させていただきます(ここを含めてしまうと栄駅や伏見駅も凄い乗換客が多いのでややこしくなってしまいます…)。
南東方面の路線
名鉄 名古屋本線
愛知県の端、豊橋市から速達タイプの列車が多く運行される愛知県の大動脈の一つです。概ねJR東海の東海道本線と競合していますが、多くの区間で東海道本線より北を走っているため、岡崎市や知立市、豊明市に住む多くの人は名鉄名古屋本線を利用することになります。豊橋方面から名古屋市へ向かう場合、金山駅の一駅手前の神宮前駅から知多半島からくる路線が合流し、名鉄としては唯一の複々線区間となります。この複々線区間は金山駅までですが、この駅で多くの乗客は地下鉄名城線へ乗り換えを行います。地下鉄東山線を使用したい人は、少し先の名古屋駅で乗り換えることになります。名城線ユーザーと東山線ユーザーで利用する駅を分けることで、名古屋駅の混雑を上手く緩和している状況が見て取れます。
JR東海 東海道本線
愛知県の大動脈で、速達列車が多く運行されている超重要路線です。豊橋市と名古屋市を結ぶ点では名鉄名古屋本線と同じですが、こちらは大府市、刈谷市、幸田町、蒲郡市の通勤・通学需要を獲得しています。名古屋市中心部へ向かう場合の動きは名鉄と同じで、名城線を利用するなら金山駅、東山線を利用するなら名古屋駅で乗り換える必要があります。
名鉄 西尾線
名鉄西尾線は、西尾市の吉良吉田駅から新安城駅で名古屋本線に合流する路線です。西尾市は名古屋都市圏に含まれており、通勤・通学の需要がかなりあることが伺えます。名古屋中心部へは、名古屋本線と同じく、金山駅か名古屋駅かを選択して乗り換える形になります。
南方面の路線
JR東海 武豊線
知多半島の東部、武豊町や半田市の乗客を拾う路線です。大府駅で東海道本線と合流し、名古屋へ向かいます。そのため、乗り換えの方法は東海道本線と同じです。
名鉄 河和線
河和駅から半田市などを経由し、神宮前駅で名古屋本線と合流する名鉄の主要路線です。途中、東海市の太田川駅で常滑・空港線と合流して知多半島中の乗客を集めて名古屋市へ突入します。名古屋本線との合流前に地下鉄との乗換駅はなく、名古屋中心部へ向かうルートは名古屋本線と同じです。
名鉄 常滑線・空港線
両路線は基本的には一体化して運行されている、中部国際空港と名古屋を結ぶ名鉄の主要路線です。成田空港や羽田空港、関空と違って、乗り入れしている路線は名鉄の1社のみです。よって、中部地方の国際線利用客の鉄道需要を独り占めしている路線と言えるでしょう。神宮前駅で名古屋本線と合流するため、乗換駅は金山駅か名古屋駅です。
乗換駅の重要さを点数化してみる
まずは、これまで分析して登場した乗換駅を一覧表にしてみます。輸送力の大きい路線、小さい路線があるため、路線需要をA~Cの三段階で評価することで、その差を表現していきます。また、乗換駅が複数存在する路線では、乗り換える人が多いと思われる順に大・中・小の区分を設けています。乗換【大】が無い路線は、乗り換えずに直接名古屋中心部へ向かうことが可能な路線です。結果は以下のとおりです。
方角 | 路線名 | 路線需要 | 乗換【大】 | 乗換【中】 | 乗換【小】 |
---|---|---|---|---|---|
西 | JR東海 関西本線 | C | 名古屋駅 | ||
西 | 近鉄 名古屋線 | B | 名古屋駅 | ||
北西 | JR東海 東海道本線 | A | 名古屋駅 | 金山駅 | |
北西 | 名鉄 名古屋本線 | A | 名古屋駅 | 金山駅 | |
北西 | 名鉄 津島線 | C | 名古屋駅 | 金山駅 | |
北 | 名鉄 犬山線 | A | 名古屋駅 | 上小田井駅 | 金山駅 |
北 | 名鉄 小牧線 | C | 平安通駅 | ||
北東 | JR東海 中央本線 | A | 千種駅 | 大曽根駅 | 金山駅 |
北東 | ゆとりーとライン | C | 大曽根駅 | ||
北東 | 名鉄 瀬戸線 | B | 大曽根駅 | ||
東 | 東部丘陵線(リニモ) | C | 藤が丘駅 | ||
東 | 名鉄 豊田線 | B | 鶴舞駅 | ||
南東 | 名鉄 名古屋本線 | A | 金山駅 | 名古屋駅 | |
南東 | JR東海 東海道本線 | A | 金山駅 | 名古屋駅 | |
南東 | 名鉄 西尾線 | C | 金山駅 | 名古屋駅 | |
南 | JR東海 武豊線 | C | 金山駅 | 名古屋駅 | |
南 | 名鉄 河和線 | B | 金山駅 | 名古屋駅 | |
南 | 名鉄 常滑・空港線 | B | 金山駅 | 名古屋駅 |
名古屋駅と金山駅が何度も登場していることが一目で分かりますね。続いて行うのは、各乗換駅の重要さを点数化する試みです。路線需要をA・B・Cの三段階で評価していますが、これをそれぞれ5点・3点・1点とします。また、乗換駅の大中小を、それぞれ3点、2点、1点とします。この2つの点数を掛け合わせた数値を、その路線における乗換駅の獲得点数として算出します。
例えば、JR東海の関西本線における名古屋駅は、路線需要1点×乗換【大】3点で結果は3点となります。
すべての路線分の点数を合計した結果は以下のとおり。名古屋駅と金山駅が、圧倒的に乗換駅として機能していることが分かります。
分析から見えてきた結論
一覧表やグラフを見れば一目瞭然ですが、名古屋市と金山駅の重要度は非常に高いことが分かります。特に名古屋駅は、西・北西・北の3方面で1番重要な乗換駅となっています。南・南東の2方面では、金山駅が1位の地位にいます。現状で言われている名古屋のターミナル(名古屋・金山・大曽根・千種)が、しっかり上位にきていますね。想定外の駅をターミナル駅と位置付けることは無さそうです。
さて、当初たてた仮説、大曽根駅は北のターミナルでは無いのではないかについては、北方面から来る乗客のターミナルは名古屋駅で、大曽根駅は名古屋北東方面からの乗客をさばく乗換駅であることから、ある程度は正しいと言える気がしています。北のターミナルではなく北東のターミナルであれば、しっくりきます。また、千種駅は東の玄関口とされていますが、名古屋北東方面からの乗客を名古屋中心部へ流す駅として、大曽根駅と機能が似ています。東方面からくる乗客は、乗り換え無しで名古屋中心部へ向かうので、言わば靴も脱がず玄関素通り状態です。千種駅は、名古屋中心部の東に位置する北東方面の乗客の玄関口といった感じですね。
名古屋市は、通勤・通学需要の高い路線が、北西方面・北東方面・南東方面に伸びているから、四方位でターミナル駅を決めようとすると難しくなるのだと思います。実際、先程の点数算出において、名古屋駅が最も点数を獲得したのは北西方面ですし、金山駅が最も点数を獲得したのは南東方面でした。
よって、今回の分析で私の納得がいく結論は、“大曽根駅は北東のターミナル、名古屋駅は北西のターミナル、金山駅は南東のターミナル、南西は海、千種駅は北東の第2ターミナル駅”です。図で表すと、大体以下のようなイメージです。あくまで個人的な結論ですので、色々と分析が足りないのはご容赦ください。
感想
あらためて分析してみると、名古屋駅と金山駅の偉大さに気づかされます。また、東方面からの流入が少ないという事も重要なポイントでした。東京や大阪で生活する人が名古屋に来た際、「名古屋は少し移動すればすぐ山」といったニュアンスの発言をすることがあります。実際、結構山に囲まれていて、東側なんてまさに少し行けばすぐ丘陵地域です。それぞれの方面の人口規模が名古屋におけるターミナル駅形成に大きな影響が出ていますね。
大曽根駅については、ナゴヤドームをスポーツ観戦やコンサートで利用する人にとっては重要な乗換駅です。今回は、名古屋周辺から栄周辺の都心部へ流入する人の動線でターミナル駅を考察しましたが、名古屋市内での移動を考えれば、大曽根駅の地位は千種駅よりも本検証結果以上に優位となることが推測されます。
また、近年では名駅地区の発展が著しく、通勤・通学・買い物で名古屋駅を目的地とするケースも増えてきていると予測できます。ほとんどの方面から乗り換えなしで行くことが可能な名古屋駅は、もともと高いポテンシャルがあったと言えますね。そんな名古屋駅に、直接行くことができない名鉄瀬戸線・名鉄豊田線の乗客が乗り換える、大曽根駅と鶴舞駅の重要度は、これから上がっていくかもしれません。東部丘陵線沿線にジブリパークが開園したことで、藤が丘駅の重要度もほんの少しだけあがったと思いますし、今後の動向も楽しみですね。
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