愛知県の警察署一覧と管轄人口┃大府警察署の予定や愛知警察署の歴史を詳しく
愛知県で46番目の新しい警察署が誕生しそうだというニュースが流れていました。今回は愛知県の警察署について詳しく見ていきたいと思います。
まずは現在の45ある警察署について詳しく見ていく。意外な管轄区域設定がされている地域もあった。特に歴史を見ていて面白かったのは愛知警察署。ややこしいが、愛知郡を管轄する警察署であったため愛知警察署だ。第2章では愛知警察署を詳しく紹介し、第3章では話題となっている大府警察署の予定・計画について見ていく。
愛知県警察が管轄する
警察署一覧
名古屋市の警察署
各区で警察署があるイメージを持っていたが、大方その通りだった。ただ、守山警察署は尾張旭市も管轄していたことを初めて知った。
警察署名 | 所在地 | 管轄区域 | 管轄区域人口 | 備考 |
---|---|---|---|---|
千種警察署 | 千種区覚王山通 | 千種区 | 165,245 | |
東警察署 | 東区筒井 | 東区 | 84,392 | |
北警察署 | 北区田幡 | 北区(名古屋飛行場を除く)※1 | 162,956 | |
西警察署 | 西区天神山町 | 西区 | 151,082 | |
中村警察署 | 中村区椿町 | 中村区 | 138,599 | |
中警察署 | 中区千代田 | 中区 | 93,100 | |
昭和警察署 | 昭和区広路通 | 昭和区 | 107,599 | |
瑞穂警察署 | 瑞穂区瑞穂通 | 瑞穂区 | 108,332 | |
熱田警察署 | 熱田区横田 | 熱田区 | 66,957 | |
中川警察署 | 中川区篠原橋通 | 中川区 | 220,728 | |
南警察署 | 南区寺部通 | 南区 | 134,510 | |
港警警察署 | 港区入船 | 港区※2 | 143,715 | |
緑警察署 | 緑区青山 | 緑区 | 248,802 | 1974年愛知警察署から分離独立 |
名東警察署 | 名東区猪高台 | 名東区 | 164,755 | 1978年千種警察署から分離独立 |
天白警察署 | 天白区植田南 | 天白区 | 164,817 | 1979年昭和警察署から分離独立 |
守山警察署 | 守山区脇田町 | 守山区・尾張旭市 | 259,731 |
※1 名古屋飛行場は西枇杷島警察署が管轄。
※2 2013年に名古屋水上警察署が廃止され、港警察署に統合された。水上警察署は、名古屋の廃止で残りは横浜・大阪・神戸の3か所のみ。
尾張地方の警察署
県営名古屋空港や自衛隊の小牧基地は、市町村の境界をまたぐ大きな施設だが、その場合はどこかの警察署がまとめて管轄しているようだ。
警察署名 | 所在地 | 管轄区域 | 管轄区域人口 | 備考 |
---|---|---|---|---|
愛知警察署 | 愛知郡東郷町白鳥 | 豊明市、日進市、長久手市、愛知郡東郷町 | 264,880 | 管轄区域が徐々に減少※1 |
瀬戸警察署 | 瀬戸市原山町 | 瀬戸市 | 127,792 | |
春日井警察署 | 春日井市八田町 | 春日井市(小牧基地・名古屋飛行場の各区域を除く) | 308,681 | |
小牧警察署 | 小牧市小牧 | 小牧市(名古屋飛行場を除く)・春日井市の一部(小牧基地)・西春日井郡豊山町の一部(小牧基地) | 148,831 | 春日井警察署から分離独立 |
西枇杷島警察署 | 清須市西枇杷島町弁天 | 清須市、北名古屋市、西春日井郡豊山町(小牧基地を除く)・名古屋飛行場 | 169,350 | |
江南警察署 | 江南市木賀町大門 | 江南市、岩倉市、丹羽郡大口町 | 170,543 | |
犬山警察署 | 犬山市松本町 | 犬山市、丹羽郡扶桑町 | 107,223 | |
一宮警察署 | 一宮市本町 | 一宮市 | 380,073 | |
稲沢警察署 | 稲沢市朝府町 | 稲沢市 | 134,751 | |
津島警察署 | 津島市西柳原町 | 津島市、愛西市、あま市、海部郡大治町 | 240,296 | |
蟹江警察署 | 海部郡蟹江町富吉 | 弥富市、海部郡蟹江町・飛島村 | 84,938 | |
半田警察署 | 半田市出口町 | 半田市、知多郡阿久比町・武豊町・東浦町・南知多町・美浜町 | 278,511 | |
新警察署(予定) | 大府市(予定) | 大府市、東浦町 | 142,719 | 新設予定※2 |
東海警察署 | 東海市横須賀町天宝新田 | 東海市、大府市 | 206,910 | 愛知県警察発足時は横須賀警察署、のち改称 |
知多警察署 | 知多市緑町 | 知多市 | 84,364 | 1995年、東海警察署から分離独立 |
常滑警察署 | 常滑市新開町 | 常滑市(セントレア地区を除く) | 58,710 | 1973年、東海警察署から分離独立 |
中部空港警察署 | 常滑市セントレア | 常滑市の一部(セントレア地区:中部国際空港島内) | 1※3 | 2005年、中部国際空港の開港に伴い設置された。 |
※1 管轄区域の変化が大きいので第2章で後述。
※2 46番目の警察署として設置が予定されている。第3章でくわしく解説。
※3 中部空港島と連絡橋を管轄する警察署だが、署長は中部空港等に唯一住民登録をしているらしい。(Wikipedia-中部空港警察署より)
三河地方の警察署
設楽町の中心部は旧田口町であり、合併で設楽町になる前から、奥三河地域を管轄する行政機関が置かれていた。設楽警察署(旧田口警察署)もその一つ。設楽警察署は管轄地域の人口が1万人を切っているが、面積はかなり広い。
警察署名 | 所在地 | 管轄区域 | 管轄区域人口 | 備考 |
---|---|---|---|---|
刈谷警察署 | 刈谷市寿町 | 刈谷市 | 153,834 | |
碧南警察署 | 碧南市松本町 | 碧南市、高浜市 | 118,564 | |
安城警察署 | 安城市横山町下毛賀知 | 安城市、知立市 | 260,183 | |
西尾警察署 | 西尾市寄住町下田 | 西尾市 | 169,046 | |
岡崎警察署 | 岡崎市明大寺町銭堤 | 岡崎市、額田郡幸田町 | 427,103 | |
豊田警察署 | 豊田市錦町 | 豊田市(旧東加茂郡を除く地域)・みよし市 | 467,635 | 愛知県警察発足時は挙母警察署、のち改称 |
足助警察署 | 豊田市岩神町仲田 | 豊田市の一部(旧東加茂郡足助町・下山村・旭町・稲武町※1) | 16,647 | |
設楽警察署 | 北設楽郡設楽町田口字小貝津 | 北設楽郡設楽町・東栄町・豊根村 | 8,396 | 愛知県警察発足時は田口警察署、のち改称 |
新城警察署 | 新城市片山字東野畑 | 新城市 | 44,355 | |
豊川警察署 | 豊川市諏訪 | 豊川市 | 184,661 | |
蒲郡警察署 | 蒲郡市緑町 | 蒲郡市 | 79,538 | |
豊橋警察署 | 豊橋市八町通 | 豊橋市 | 371,920 | |
田原警察署 | 田原市加治町東天神 | 田原市 | 59,360 |
※1 2003年、稲武町(現豊田市稲武町)が設楽警察署から移管。
愛知警察署の管轄地域推移を追う
Wikipediaで愛知警察署の沿革を調べていると、管轄区域の変化が目まぐるしく面白かったため、深堀りしていきたい。
拡大の時代
- 1948年、警察法施行により設立。
- 翌年には愛知郡日進村大字浅田字笹原に愛知地区警察署庁舎竣工。それまでは瑞穂警察署庁舎内で執務。
- 当時の管轄区域は、愛知郡猪高村、天白村、東郷村、日進村、長久手村、豊明村、幡山村。
天白村は、ほぼ現在の名古屋市天白区。猪高村は現在の名東区と千種区の一部。幡山村は、現在の瀬戸市南部。この時代の愛知警察署は、かなり広い管轄区域だったことが分かる。
天白
猪高
警察署の庁舎だが、初期は現在の日進市浅田にあったようだ。今昔マップ(以下地図)で検索してみると、確かに警察署の地図記号が確認できる(現・国道153号沿い)。現在は近くに東邦ガス㈱日進事業所が建っている辺りだ。
- 愛知県警察が1954年に発足し、それに伴い愛知県愛知警察署に。
- その際、鳴海警察署の管轄を吸収した。
驚くべきことに、さらに管轄区域が拡大した。鳴海町は現在の緑区の主要地区の多くを占めており、現在の名古屋市緑区から大高町・有松町を除いた区域が新しく加わったイメージ。おそらくこの時代の管轄区域が最大だと思われる。
大きな変革期
- 1955年、幡山村が瀬戸市に合併し、瀬戸警察署の管轄に編入。
- 1955年、猪高村が名古屋市千種区、天白村が名古屋市昭和区に合併し、千種警察署・昭和警察署の管轄に編入。
名古屋市の拡大につれて、管轄区域が剥ぎ取られてきた印象を受ける。しかし、この地域はその後宅地開発が進み物凄い人口が増えた地域。愛知警察署で管轄し続けることは無理だっただろう。また、合併先をみれば分かるように、まだ天白区や名東区が無い時代だ。
- 知多郡有松町・大高町の名古屋市緑区への編入に伴い、横須賀警察署(現・東海警察署)より管轄区域の一部である名古屋市緑区が、愛知警察署の管轄に編入。
まず、押さえておきたいのは、1963年にSTEP02で吸収していた管轄区域の鳴海町が、名古屋市に合併することになり、それに伴って緑区が設置されたということ。この時点で、名古屋市緑区は引き続き愛知警察署の管轄だということになる。
さらに翌年、大高町と有松町が緑区に編入されることになり、それによって緑区の旧大高町・旧有松町が横須賀警察署(現・東海警察署)から愛知警察署の管轄に変更された。つまり、現在の名古屋市緑区の管轄は、緑区誕生からしばらくは愛知警察署だったようだ。
ようやく落ち着く
- 1974年、名古屋市緑区を管轄区域とする緑警察署が分離独立。
- 1975年、名鉄豊田線新線計画及び国道153号拡張工事に伴い、愛知郡日進町浅田(現・日進市浅田町)から現在地(愛知郡東郷町白鳥)へ移転。
1974年にようやく緑区警察署が発足し、愛知警察署から分離した。ここで名古屋市緑区が管轄区域ではなくなり、現在の長久手市・日進市・東郷町・豊明市(この時点ではまだ長久手と日進は町)が区域となった。
1975年には現在地へ移転した。新庁舎では4市町を管轄する規模の体制がとられたことだろう。分離する際には、該当地域の事件・案件を引き継がなければならないため、怒涛の区域変更で当時は大変だっただろうと思う。
大府市・東浦町を管轄する
新警察署が誕生する
管轄区域について
現在は東海警察署管轄の大府市と、半田警察署管轄の東浦町が対象になるとされている。(大府市の平成27年3月議会で「大府市・東浦町を管轄する警察署の新設を求める意見書」が可決されている。)
建設予定候補地
大府市のホームページで公開されている情報によると、場所は大府市月見町二丁目地内を候補としているようだ。東浦町に近い位置で、東海警察署と同じく国道155線沿い。
候補地
発足はいつ頃か
2022年の時点では候補地の調査が始まる動きがあるくらいで、まだ具体的なスケジュールなどは見つけられなかった。ただ、昭和63年以降実に34年間にわたり熱心な新警察署誘致活動を行ってきただけあって、大府市のホームページや広報誌では積極的な情報発信が行われている。愛知県46番目の警察署誕生に向け、今後の動きに注目していきたい。
※この記事の参考とした資料(愛知警察署 – Wikipedia/大府市公式ホームページ/2020年国勢調査)
まとめ・感想
いくつかの市町村を管轄している警察署で、蟹江警察署や愛知警察署などは管轄区域に市があっても、庁舎の所在地は町であることが興味深かった。合併や市制移行などが進む前の昔から警察組織がしっかり存在していたということを感じさせてくれる。もちろん、距離的に中心だということもあるだろうが…。
警察署を調べている中で、2013年まで名古屋水上警察署が存在していたことを初めて知った。改めてよく考えれば、名古屋港へ行った時、その庁舎を見たことがある気がする。いろいろと深堀りして調べていると、予想外の事象を知ることが出来て楽しい。
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