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市町村別一般病院数や人口当たり一般病院数┃東栄病院の診療所化で順位はどうなったのか

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住む場所を探す際に、大きな病院が地域にあるかという点を重視する人がいる。特に子育てや介護が絡む世帯では、病院へのアクセスが良いかどうかが、安心度につながってくる。愛知県では、どの地域に病院が多く、または少ないのだろうか。統計局のデータを基に地図や表でまとめてみた。

名古屋市や中核市では病院の数は多いだろうが、それ以外の地域ではどうなっているだろうか。今回の病院は、厚生労働省の医療施設調査に沿って、病床数が20以上ある施設が対象。現在の施設数だけでなく、過去からの推移も見ていきたい。

目次

愛知県全自治体で
一般病院数はどこが多いか

厚生労働省医療施設調査を基に筆者作成

一般病院数

番号市区町村名2019年2010年2000年1990年1980年
1名古屋市千種区1010111721
2名古屋市東区34499
3名古屋市北区109141616
4名古屋市西区6681010
5名古屋市中村区910101111
6名古屋市中区811141924
7名古屋市昭和区67101113
8名古屋市瑞穂区7891313
9名古屋市熱田区555910
10名古屋市中川区1213151610
11名古屋市港区55587
12名古屋市南区1010131716
13名古屋市守山区6781110
14名古屋市緑区55576
15名古屋市名東区7810118
16名古屋市天白区54464
17愛知県豊橋市1718242826
18愛知県岡崎市1213152326
19愛知県一宮市1412141817
20愛知県瀬戸市77778
21愛知県半田市33478
22愛知県春日井市111091712
23愛知県豊川市1211141516
24愛知県津島市44453
25愛知県碧南市44554
26愛知県刈谷市65765
27愛知県豊田市1412172021
28愛知県安城市33544
29愛知県西尾市55588
30愛知県蒲郡市33488
31愛知県犬山市43221
32愛知県常滑市11121
33愛知県江南市22345
34愛知県小牧市322911
35愛知県稲沢市43344
36愛知県新城市45555
37愛知県東海市23333
38愛知県大府市34344
39愛知県知多市32221
40愛知県知立市22345
41愛知県尾張旭市12223
42愛知県高浜市11110
43愛知県岩倉市11110
44愛知県豊明市22333
45愛知県日進市33332
46愛知県田原市11111
47愛知県愛西市00120
48愛知県清須市33255
49愛知県北名古屋市22121
50愛知県弥富市22122
51愛知県みよし市22233
52愛知県あま市11111
53愛知県長久手市22222
54愛知県東郷町10012
55愛知県豊山町00011
56愛知県大口町11110
57愛知県扶桑町00011
58愛知県大治町00000
59愛知県蟹江町22232
60愛知県飛島村00010
61愛知県阿久比町00000
62愛知県東浦町00111
63愛知県南知多町00111
64愛知県美浜町22222
65愛知県武豊町22222
66愛知県幸田町00000
67愛知県設楽町00000
68愛知県東栄町01111
69愛知県豊根村00000
厚生労働省医療施設調査を基に筆者作成

愛西市を始め、一般病院が無い自治体もある

病院が無い街が割とあることに驚いた。愛西市は、愛知県では唯一の一般病院が無い市だ。町や村では、一般病院数0の自治体が目立つ。

一般病院が無い自治体(愛知県)

  1. 愛西市
  2. 豊山町
  3. 扶桑町
  4. 大治町
  5. 飛島村
  6. 阿久比町
  7. 東浦町
  8. 南知多町
  9. 幸田町
  10. 設楽町
  11. 東栄町
  12. 豊根村

豊橋市は一般病院数が多い

2019年の調査データでは、豊橋市の一般病院数は17。同率2位には一宮市・豊田市と、中核市が続く。名古屋市では中川区が一般病院数12で全16区中で最多。

一般病院数 上位10自治体(2019年)

順位市区町村名一般病院数
1愛知県豊橋市17
2愛知県一宮市14
3愛知県豊田市14
4名古屋市中川区12
5愛知県岡崎市12
6愛知県豊川市12
7愛知県春日井市11
8名古屋市千種区10
9名古屋市北区10
10名古屋市南区10
厚生労働省医療施設調査を基に筆者作成

過去からの推移

統廃合が進んだためか、大きな傾向として一般病院は減少している。特に岡崎市は、1980年に26施設もあった一般病院が、2019年には12施設まで減少した。地図でも一般病院が減っていく様子を確認できる。

厚生労働省医療施設調査を基に筆者作成

厚生労働省医療施設調査を基に筆者作成

厚生労働省医療施設調査を基に筆者作成

人口当たりの一般病院数で
比較すると興味深い

2020年のデータがまだ確認できなかったため、2010年時点のデータを使用した。

厚生労働省医療施設調査を基に筆者作成

上位の自治体

東栄町が圧倒的な数値で1位という結果に。ただし、お気づきの方もいるかと思うが、既出の2019年一般病院数のマップで東栄町は白色。つまり、現在東栄町の人口10万人あたりの一般病院数は0となってしまっている。

上位10自治体(2010年時点)

順位市区町村名病院数(10万人あたり)
1愛知県東栄町26.6
2名古屋市中区14
3愛知県新城市10
4愛知県美浜町7.9
5名古屋市熱田区7.7
6名古屋市瑞穂区7.6
7名古屋市中村区7.3
8名古屋市南区7.1
9名古屋市昭和区6.6
10名古屋市千種区6.2
厚生労働省医療施設調査を基に筆者作成

東栄病院の影響

奥三河地域の医療は東栄病院が支えていたが、厳しい赤字運営を続けていたようだ。2019年には有床診療所化され、東栄医療センターに改称された。(調査の定義で、”病院は、医療法第1条の5に基づく施設で、医師又は歯科医師が公衆又は特定多数人のため医業又は歯科医業を行う場所であって、20人以上の患者を入院させるための施設を有するものをいう”とあり、20床未満の施設になったことで一般病院にはカウントされなくなったと考えられる。)

さらに東栄医療センターは財政難や医師不足から、入院病床が無くなることが決まった。この際、救急医療や人工透析も廃止されるということで、医療体制存続を希望する住民からリコール運動が起こり、現職の町長が辞職してから再出馬し、判断を住民に委ねた。結果として医療縮小派の現職側が勝利し、東栄医療センターに代わって町営の診療所が入る複合施設「ひだまりプラザ」が2022年10月に完成した。

過疎地における医療体制の問題は、今後の日本全体で大きな問題となっていきそうだ。財政負担を考えないで良いなら、大きい病院があれば嬉しいのだが…。

精神科病院がある自治体
は3分の1以下

厚生労働省の調査では、精神科病院の施設数データも公開されていたため、地図にデータを落としてみる。定義では、病院の種別として、精神科病院(精神病床のみを有する病院)以外を一般病院としている。

厚生労働省医療施設調査を基に筆者作成

精神科病院がある自治体は21/69。人口の少ない自治体では、そもそも精神科病院が無いということも多いようだ。精神科病院をもつ21自治体は以下のとおり。

精神科病院数が1以上の自治体

  1. 豊橋市
  2. 豊田市
  3. 春日井市
  4. 名古屋市南区
  5. 名古屋市千種区
  6. 名古屋市守山区
  7. 岡崎市
  8. あま市
  9. 名古屋市中村区
  10. 名古屋市昭和区
  11. 名古屋市中川区
  12. 名古屋市北区
  13. 瀬戸市
  14. 犬山市
  15. 刈谷市
  16. 一宮市
  17. 半田市
  18. 稲沢市
  19. 江南市
  20. 東郷町
  21. 幸田町

まとめ・感想

地域の病院数は、健康・医療に大きく関わってくる。ただ、入院ができるほど大きな病院となれば維持コストは大変大きな負担となる。特に民間の病院が利益を出せない過疎地などでは、自治体でどこまで病院を支えていくのかは大きな問題になりえる。今後、病院の存続・廃止等の問題についてのニュースには注目していきたい。

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