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東海地方で百貨店が消えた都市と、現存する百貨店の一覧

イオンモールをはじめとする大型の郊外店舗との競争もあり、全国的にも次々と閉店が相次ぐ百貨店業界。特に地方の百貨店はバブル崩壊後に大きく数を減らし、百貨店が無い中核市や県庁所在地も珍しくはなくなりました。2024年現在では、政令指定都市であっても、川崎市や相模原市は百貨店がありません。

大和富山店

個人的には津山市の天満屋や熊本市の鶴屋、富山市や金沢市の大和など、地方の百貨店が大好きです。百貨店があることが、一つの街のブランドだと感じるのは時代遅れでしょうか。21世紀に入ってからも、東海地方では次々と百貨店が無くなっています。今回は、そんな東海地方の百貨店事情について調べて見ました。

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百貨店が現存する都市は?

早速ですが、東海地方に残っている百貨店を確認して見たいと思います。2024年2月10日現在、一般社団法人日本百貨店協会に加盟する東海地方の店舗一覧は以下のとおりです。

愛知県名古屋市中村区(株)近鉄百貨店 名古屋店
愛知県名古屋市中村区(株)ジェイアール東海髙島屋
愛知県名古屋市中区(株)大丸松坂屋百貨店 松坂屋名古屋店
愛知県名古屋市中区(株)名古屋三越 栄店
愛知県名古屋市千種区(株)名古屋三越 星ヶ丘店
愛知県名古屋市中区(株)丸榮(事務所)
愛知県名古屋市中村区(株)名鉄百貨店 本店
三重県津市(株)津松菱
三重県四日市市(株)近鉄百貨店 四日市店
岐阜県岐阜市(株)岐阜髙島屋

愛知県は名古屋市だけに

事務所である丸榮を除いて、愛知県にある百貨店6店舗はすべて名古屋市に位置します。注目したいのは、名駅に3店舗、栄に2店舗だということ。一昨年の店舗売上高では、JR名古屋髙島屋が東海地方で1位、全国でも4位を記録。次に来るのは松坂屋名古屋店で全国では9位という結果でした。商業活動が中区栄から中村区名駅へシフトしているとよく言われますが、百貨店の状況からもその状況が伺えます。

存在感が増す名駅周辺

三越星ヶ丘の存在感

愛知県において、名駅エリアと栄エリア以外で百貨店があるのは、千種区星が丘だけです。この店舗は、現在の名古屋三越栄店と同じく、元はオリエンタル中村百貨店として地元資本で運営されていた百貨店でした。その後三越の傘下に入り、一度は三越伊勢丹ホールディングス傘下となりました。2010年頃には新設分割で株式会社名古屋三越が設立され、現在に至ります。

オリエンタル中村百貨店が星ヶ丘店を出店をした当時から、売上は不振だったようです。現在では、星ヶ丘テラスなど周辺が整備されているものの、百貨店自体に賑わいがあるかと言えば、名駅や栄の店舗と比べると寂しいものです。ただ、デパ地下や1階、2階のフロアはそこそこ混んでいる日もある印象です。いつまで生き残り続けるられるのか、注目していきたいところです。

三重県には2店舗あるが…

三重県には、県庁所在地の津市には津松菱、四日市市には近鉄百貨店があります。近鉄百貨店については、近鉄四日市駅直結で、さらに周辺にはふれあいモールという歩行者専用道が整備されており、休日にはかなりの賑わいを見せています。また、東海地方最大級の無印良品フロアを展開するなど、まだまだたくさんの人を集められる百貨店だという印象を受けました。

近鉄百貨店四日市店

一方で心配なのは津松菱です。バブルでの負債が大きかったものの、改革を行なってコロナ前までは黒字の状態が続いていたようです。ただ、私が実際に行った際には、休日にも関わらずかなり利用者は少なめでした。そもそもとして、津市の中心部に賑わいが無いことが、状況を更に厳しくさせていると思います。津市役所やそのほか行政機関が多く付近にあるものの、津駅から遠いことがかなりネックとなっている印象を受けます。松坂屋豊田店や名鉄百貨店一宮店などを思い出せば、駅から近ければ必ずしも良いかと言われると難しいですが…。

津松菱

岐阜市と津市、どちらが百貨店の無い県庁所在地になるのか注目していましたが、岐阜市が先に無くなりましたね。津市にもぜひ、まだまだ頑張って欲しいところです。

岐阜県から百貨店が消える

2023年秋、衝撃的なニュースが東海地方に流れました。岐阜髙島屋岐阜店が、2024年7月末で閉店するというもの。建物の老朽化が進み、設備更新の費用拠出が家主と折り合いがつかなかったことが決定打となったようです。

駅前から見る髙島屋

百貨店ゼロ県

話題となったのは、岐阜県が全国で4番目の「百貨店ゼロ県」となることです。山形県、徳島県、島根県が先に百貨店ゼロ県となっています。岐阜県の次、5番目がどこになるのか、危ない県が多過ぎて予想が難しいです。島根が無くなったのだから鳥取県は?と考える人もいるかと思いますが、鳥取県はしばらく大丈夫そうです。三重県で四日市市が強いように、鳥取県では米子市が強く、百貨店が2店舗もあります。立派な建物・賑わいだと定期的にSNSでバズっていますね。

岐阜市の百貨店

私が小学生の頃、名鉄の新岐阜百貨店に行った記憶が微かに残っています。2005年末に閉店しており、開業は1957年でした。最盛期は1990年、年商が約165億円だったとのことです。かつては柳ヶ瀬を中心として活気に溢れ、名古屋からも人を吸収していたとのことですが、路面電車廃止、百貨店ゼロと大変寂しくなってしましました。ちなみに、1999年までは柳ヶ瀬に近鉄百貨店まで存在していました。平成に入ってから、市街地の空洞化が急激に進んだ都市です。

岐阜駅前の様子

近年では駅前に高層マンションが建ち、遠くからでも岐阜市を視認することができるようになりました。衰退はしましたが、岐阜市にはまだまだポテンシャルがあると信じています。人口も多く、岐阜駅が名古屋への交通面で大変利便性が良いです。ただ、利便性が良くても多治見市のようなベッドタウンに特化するのは勿体無いような、複雑な気持ちになってします。ぜひ、活気ある街を取り戻してほしいと思います。

百貨店が消えた東海地方の街

東海地方で、百貨店が無くなってしまった都市を紹介します。中核市にはどこも百貨店がありましたが、次々と閉店してしまいました。

各都市に最後まで残っていた百貨店と、その閉店年を調べたので、一覧にまとめます。

都市名店舗名閉店年
一宮市名鉄百貨店一宮店2024年
豊田市松坂屋豊田店2021年
岡崎市西武岡崎店2020年
豊橋市ほの国百貨店2020年
大垣市ヤナゲン大垣本店2019年
瑞穂市ヤナゲンFAL店2011年
松阪市三交百貨店松坂店2006年
伊勢市三交百貨店伊勢店2001年
名張市近鉄百貨店桔梗が丘店2001年

最後まで残った一宮市

愛知県内の百貨店は、2020年には一気に数を減らし、名古屋市以外で百貨店がある都市は一宮市だけとなっていましたが、その一宮市も2024年1月末で百貨店がなくなりました。

閉店後は、名鉄の資本で商業施設やオフィスが入居する複合施設として、再オープンする予定だそうです。

百貨店と反対側の駅舎

廃止されて現在は残っていない、名鉄一宮線という路線があります。岩倉駅から一宮市の東一宮駅を結んでいました。1965年に路線が廃止された後、東一宮駅跡地に丸栄と名鉄百貨店の共同出資によって名鉄丸栄百貨店が開店しました。その後、丸栄と連携解消、2000年には現名鉄一宮駅併設の位置へ移動しました。

食品特化で小さく残る豊田市と岡崎市

豊田市の松坂屋豊田店は、建物の見た目から分かるように、元は豊田そごうでした。2000年にそごうグループの経営破綻によって閉店、松坂屋や名鉄百貨店等と出店交渉の結果、2001年には松坂屋豊田店が開店しました。そんな松坂屋豊田店も2021年9月30日で閉店しました。店舗はT-FACEとなりましたが、専門店街の一部に、名古屋三越豊田店が開店し、食料品だけ扱っています。一般的な百貨店とは異なるため、豊田市の百貨店は松坂屋豊田店の閉店を持ってゼロとなったとされています。

西武岡崎店はイオンモール岡崎内に入居する形で出店されており、大変珍しい形態でした。出店後ではありますが、西武百貨店はセブン&アイ・ホールディングス傘下に入ったため、イオンとセブンというライバルが同居する状態でした。徐々に売り上げが減少し、2020年8月末をもって閉店しました。私も、西武閉店後も営業が継続されたロフトへ行くついでに、リニューアルされたフロアへ行ってみました。西武跡には、ジェイアール名古屋タカシマヤによる食品エリアがあり、いかにも百貨店の地下エリアっぽい、高級感ある雰囲気で良かったです。イオンモール内にあるため家族連れで賑わっていました。

豊橋の百貨店

豊橋市では、昭和後期にかけて丸栄と西武がライバル百貨店として出店されていました。先に閉店したのは西武で、2003年8月に閉店、跡地にはココラフロントが開業しています。

ココラフロント

豊橋唯一の百貨店となった丸栄は2012年、名称変更でほの国百貨店として運営を開始。地元密着で経営を続けるも、売上は減少を続け2019年に閉店となりました。

岐阜のヤナゲン

株式会社ヤナゲンは現在でも残っていて、百貨店は無くなりましたが外商や不動産事業を行っています。かつては百貨店2店舗を営業していた時代が続きました。この店舗が大垣市の大垣本店と、瑞穂市のFAL店(旧岐大ホームセンター)でした。

現在の大垣駅前

ヤナゲンは、大型郊外店舗との競争による業績不振で、平和堂に買収され、完全子会社となりました。その後、FAL店が先に閉店、本店も2019年で閉店となり、岐阜県には髙島屋だけが残ったのでした。

三交百貨店の閉店

三重県には、かつて伊勢市と松阪市にも百貨店がありました。三重交通株式会社が100%出資する株式会社三交百貨店が運営していたのが、三交百貨店です。本店は松阪店で、2006年まで営業していました。

ちなみに、松阪市は三井家発祥の地としての歴史から、三越伊勢丹ホールディングスと連携協定を結んでいます。誘致活動も行っていたようですが出店には至っていません。

将来はどうなるか

20年後に残る店舗は

人口減少が進み、ネット通販がますます広まっていくであろう将来、東海地方の百貨店はどうなっているでしょうか。もしかすると、JR名古屋髙島屋と松阪屋名古屋店の2店舗しか残っていない可能性も考えられます。品川駅と名古屋駅がリニア中央新幹線で40分、ちょっと良い買い物は東京まで出て楽しむ時代になるかもしれません。

今のうちに行っておこう!

また、新しい店舗が誕生することは、よほど難しいと思います。ただ、現在残っている店舗はしっかり記憶しておきたいです。豊橋のほの国百貨店や、大垣のヤナゲン百貨店など、閉店前に行っておけば良かったと後悔しています。もう二度と行くことができないわけですからね。雰囲気や特色を楽しみつつ、それぞれの店舗がいつまで営業を続けられるのか、今後も注目していきたいと思います。

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