愛知県で人口増加・減少が激しかったのは、どの自治体の、どの時期なのか。ランキングでまとめてみた。

人口の増減は、その時代の都市開発や交通網の整備、さらには社会の変化を映し出す鏡です。1980年以降の愛知県の自治体を対象に、どの時期に「最も人が増えたのか」「最も人が減ったのか」をランキング形式でまとめてみました。
登場する自治体は何となく予想はつくと思いますが、どの時期が一番増えた・減ったかまでは良いそうが難しいのではないでしょうか。それでは、ランキングの結果を見ていきましょう。
人口増加率トップ10+α
まずは人口が大きく増えた自治体です。上位にはやはり名古屋近郊の新興住宅地がずらりと並びました。
1位:1985年 現長久手市
+37.06%

増加率1位は1980〜85年の長久手町。愛知万博やリニモ以前の時期ですが、すでに名古屋のベッドタウンとして急成長していました。
2位:1990年 現長久手市
+32.18%

なんと増加率2位も長久手町。1980年代の長久手、控えめに言ってもヤバすぎますね。目まぐるしい変化です。
3位:1985年 東郷町
+28.7%

3位は愛知郡東郷町。この頃は、周辺の日進市、長久手市、みよし市はすべて市制移行前でした。東郷町は、現在人口4万人を超えていますが、5万人に届くことは難しそう。市制の可能性は低そうです。
4位:1995年 現みよし市
+23.82%

当時は三好町でした。トヨタの工場が立地し工業都市として地位を固めるみよし市ですが、住宅都市としての開発が始まったのは割と最近です。北部地域の人口増加に対応して、1990年に三好町立北部小学校と分離し、三好町立三好丘小学校が開校しました。
5位:1995年 日進市
+19.82%

日進市は1994年に市制移行しているので、町〜市にかけての人口増加率が、5位にランクインした数値です。みよし市や長久手市よりも早く単独市制移行しています。
6位:2000年 現みよし市
+19.45%

4位に続いて三好町がランクイン。急激な人口増加がまだ続いています。
7位:2005年 現みよし市
+17.97%

6位に続いて、さらに三好町がランクイン。1990〜2005年の三好町も成長は著しいものがあります。現みよし市が、トップ10最多登場(3回)となりました。高い成長率を維持し、2010年に無事に単独市制を実施しました。
8位:2000年 日進市
+16.38%

日進市が2度目のランクイン。1990年代の成長が著しかったということです。長久手市と日進市は、2040年でも人口が増加していることが予測されています。
9位:2000年 東郷町
+14.63%

東郷町も2度目のランクイン。名古屋市緑区や天白区における宅地開発の勢いが、そのまま市域を超えて東郷町まで到達しました。
10位:1990年 尾張旭市
+14.39%

またも尾張東部の自治体がランクイン。尾張旭市は、日進市や長久手市よりも早めに開発が進んだ。よって高齢化も早めに進むことが予想されており、人口減時代もすぐそこまで迫っています。人口密度がすでにかなり高く、開発の余地が長久手市などに比べると少ないことも要因です。
トップ10以下の結果
11位:1995年 現長久手市
12位:1985年 美浜町
13位:2000年 現長久手市
14位:1990年 現日進市
15位:2005年 日進市
16位:2010年 現長久手市
17位:1985年 阿久比町
18位:2015年 長久手市
19位:1995年 小牧市
20位:1990年 小牧市
人口減少率トップ10+α
一方で、過疎化に悩まされてきたのが奥三河や知多半島南部です。
1位:2015年 豊根村
-15.04%

1位は最も名古屋市から遠い地域の奥三河から、豊根村がランクイン。2025年現在、県内で最小人口の自治体となっています。2010〜15年の減少幅が、近年の愛知県で記録した最大減少率のようです。
2位:2020年 東栄町
-14.63%

2位の東栄町も奥三河の街。最新の2020年国勢調査の結果がランクインしました。現在進行形で、ものすごい勢いで人口減少が進んでいます。
3位:2010年 東栄町
-13.57%

続いても東栄町。2005〜10年の減少幅も大きかったみたいです。
4位:2020年 設楽町
-12.55%

豊根村・東栄町ときて、もちろん設楽町もランクイン。3町村全てで人口減少が激しいのが深刻なところです。
5位:2015年 設楽町
-12.05%

設楽町が連続でランクイン。高い減少率を維持し続けているようです。
6位:2010年 豊根村
-11.93%

豊根村が2度目のランクイン。
7位:2020年 南知多町
-11.17%

奥三河地域以外から唯一のトップ10入りとなりました。半島という地形は発展には不利で、同じく渥美半島の田原市でも人口減傾向があるため、当然知多半島の先端に位置する南知多町も苦戦しています。
8位:2020年 豊根村
-10.4%

豊根村が3度目のトップ10入り。2010年からの5年間よりは減少率が抑えられていますが、それでも2015年からの5年は-10%を超える高い減少率です。
9位:2005年 設楽町
-9.38%

設楽町もトップ10に3度目の登場。2000年以降の豊根村・設楽町・東栄町が何度もランクインしており、平成に入って加速度的に人口減少が進んでいる深刻な状況が読み取れます。
10位:1985年 豊根村
-9.08%

豊根村がトップ10に4度目のランクインです。トップ10の中で唯一、2000年より前の人口減少率でした。山間部では、もう昭和の時代から大きな人口減少が始まっていたということです。
トップ10以下の結果
11位:2015年 南知多町
12位:2010年 設楽町
13位:2000年 設楽町
14位:2015年 東栄町
15位:2000年 東栄町
16位:2005年 東栄町
17位:1990年 東栄町
18位:1995年 設楽町
19位:2005年 豊根村
20位:2000年 南知多町
市で最初に登場するのは25位の新城市(2020年)、29位の新城市(2015年)、33位の田原市(2020年)。50位以内には津島市や愛西市の名前も。
感想・まとめ
人口増加の中心は、1980〜2000年代にかけての名古屋東部の新興住宅地。一方、人口減少の中心は、2010年代以降の奥三河と南知多。都市化と過疎化が同時進行した40年の姿が、このランキングからはっきり見えてきます。
都市部に人口が流出することは、これからの人口減少社会で止められることではないですが、山間部の急激すぎる人口減少は様々な問題を引き起こすでしょう。もう少し緩やかな人口減少となるよう、施策を打っていく必要がありそうです。