森記念財団「2025年日本の都市特性評価」から見る東海三県の都市力ランキング

都市の個性や力を多角的に評価する、森記念財団の「日本の都市特性評価」。2025年版の結果が発表され、全国TOP80に東海3県からも複数の都市がランクインしました。研究・開発、交通アクセス、生活環境、経済力など、それぞれの都市が持つ強みが浮き彫りとなっています。今回はその中から、東海地方の都市ランキングを紹介していきます。
この都市ランキング、対象となる都市は国内の136都市(政令指定都市、県庁所在地、人口17万人以上)であるため、そもそも東海地方でエントリーできた都市が限られています。愛知県では名古屋市、豊橋市、岡崎市、一宮市、春日井市、豊川市、豊田市、安城市。岐阜県では岐阜市、三重県では津市と四日市市、鈴鹿市です。
1位(全国2位)名古屋市

東海地方の中心都市にして、中部地方のエースでもある名古屋市。全国ランキングが楽しみでしたが、大阪市に次ぐ2位になりました。大阪市、名古屋市、福岡市、横浜市、京都市は鉄壁のトップ5という感じです。(ちなみに6位は神戸市。福岡市以外は旧5大都市であり、福岡市の成長が際立ちますね。)
名古屋市は、研究・開発力や交通アクセスにおいて特に高いスコアを示しました。愛知県のモノづくり産業を牽引する中核であり、日本全国で見ても強い存在感を放っています。ネット上では、何故かイメージで軽んじられるシーンが見受けられる名古屋市ですが、データを基に分析すると福岡市や横浜市よりも上位にくるケースがほとんどです。
2位(全国19位)岐阜市

名古屋市以外は同じような人口規模の中核市が複数存在する東海地方で、2位がどこか気になっていましたが、岐阜市がランクインしました。岐阜県の県庁所在地である岐阜市は、分野ごとのバランスが良く、特に「生活・居住」での評価が際立ちました。最近は名古屋市への通勤・通学の利便性を活かし、ベッドタウン的まちづくりも進められている岐阜市。柳ヶ瀬が絶好調だった昭和の時代であったら、また違った特性評価を受けていたことでしょう。
3位(全国20位)豊田市

自動車産業の城下町として知られる豊田市は、経済・ビジネス分野で高い評価を得ました。豊富な税収を背景とした財政力の強さも高評価につながっています。
岐阜市と豊田市の順位はともかく、東海地方のトップ3は名古屋市・岐阜市・豊田市であることは予想がついていました。ここから先は私もあまり想像がつかないですが、どこがランクインしたのでしょうか。
4位(全国29位)豊橋市

東海地方4番手は、東三河の拠点都市である豊橋市。生活・居住や環境分野で高い評価を獲得しました。市民生活や福祉の充実度が評価のポイントとなり、都市規模に比して暮らしやすさが評価されたようです。豊橋市まちなか図書館など、私も豊橋市民が羨ましくなる施設が複数あります。
5位(全国34位)岡崎市

徳川家康で知られる歴史都市である岡崎市は、経済・ビジネス分野と生活・居住の両面で強みを示しました。産業と住みやすさが共存する都市として、西三河で強い存在感があります。
6位(全国38位)安城市

東海地方6位は、またも西三河の都市である安城市でした。岡崎市と同様に経済・ビジネスと生活・居住の評価が高めでした。製造業を中心とした経済基盤がしっかりしており、安定した都市力を発揮しています。新幹線駅があることで、全国的な知名度も高いですよね。東海地方以外の人が、安城市が全国38位に入るほど力のある都市だと気づいているかは分かりませんが。
7位(全国54位)津市

ここにきて初めて三重県の都市がランクイン。三重県庁所在地の津市は、環境分野での評価が特に目立ちました。なかでも温暖化対策の指標で全国的に高い水準を記録しています。
8位(全国55位)豊川市

東海地方で全国80位以内にランクインした最後の都市は豊川市でした。豊川稲荷で知られる豊川市は、生活・居住と環境の両面で評価が高まりました。豊かな自然環境と都市機能が共存するバランス型の都市といえるでしょう。
正直なところ、一宮市や四日市市がランク外となる中で、豊川市が東海地方8位となったのは意外でした。尾張は名古屋市1強、三河は群雄割拠といった状態と言えるかもしれません。
惜しくも80位圏外となった都市たち
今回TOP80入りは逃したものの、一宮市、春日井市、四日市市、鈴鹿市といった都市も存在感を放っています。今後の都市政策や地域の取り組みによっては、次回以降のランクインも期待できるかもしれません。

もっと詳しく知りたい方は、今回の参考元である都市戦略研究所がリリースしたレポートを読んでみましょう。有名都市の意外な側面も見えて、とても楽しいですよ。