面積と可住面積の差が大きい愛知県の自治体はどこ?
山間部の自治体は、深い山中の狭い盆地などに、市街地が密に形成されているケースがある。そうした場所では、広い平野の中にある街よりも賑わいを感じることがある。今回は、可住面積に注目して、愛知県の様子をみていく。
はじめに
可住面積は、総面積から林野面積と主要湖沼面積を差し引いた面積のこと。つまり、森林や湖など自然豊かすぎる自治体では可住面積が狭くなる。奥三河がどうなるか気になるところだが、他の市区町村でも可住面積が意外な自治体はあるだろうか。国勢調査のデータを基に、地図や表で考察していきたい。
まずはシンプルな面積を
確認しておこう
尾張は狭い傾向
尾張地方には面積が狭い自治体が多い。面積が100㎢を超える尾張地方の自治体は名古屋市と一宮市、瀬戸市のみだ。一宮市は平成17年に尾西市と木曽川町を編入合併し、面積が100㎢を超えた。
三河は広い傾向
知立市と高浜市は小さいが、傾向としては三河地方の自治体は大きい。平成の大合併で人口が少ない山間部の自治体で再編が進んだ結果だ。愛知県の人口は尾張地方に偏りがある影響が出ているのかもしれない。
可住面積で自治体を見てみる
可住面積は狭い三河地方
山間部の自治体は可住面積はかなり狭い。奥三河では設楽町(約27㎢)、東栄町(約11㎢)、豊根村(約10㎢)と、軒並み狭くなっている。可住面積で見れば、東栄町や豊根村は知立市(16㎢)よりも狭くなってしまう。
可住面積との差が大きい
自治体はどこ
可住面積率が100%の自治体
尾張地方を中心に、市区町村区域のすべてが可住地であるのは30自治体も存在する。地図では、一番濃い赤色で塗られた自治体が該当するが、知立市・安城市・高浜市・碧南市を除けば、残りはすべて愛知県西部の平野に位置する自治体だ。
碧海台地
碧海台地(へきかいだいち)は、愛知県中央部、矢作川の右岸に位置する標高30-50mの台地。岡崎平野の一部である。
碧海台地 – Wikipedia
差が大きい上位10自治体
言い換えれば、住めない土地が多い自治体のランキングだ。当然、山間部の自治体がほとんど。岐阜県との県境付近も山間部であるため、犬山市や瀬戸市、豊田市がランクインしている。
上位10自治体
順位 | 市区町村名 | 面積【㎢】 | 可住面積【㎢】 | 割合 |
---|---|---|---|---|
1 | 愛知県豊根村 | 155.88 | 10.79 | 6.9% |
2 | 愛知県東栄町 | 123.38 | 11.42 | 9.3% |
3 | 愛知県設楽町 | 273.94 | 27.32 | 10.0% |
4 | 愛知県新城市 | 499.23 | 83.65 | 16.8% |
5 | 愛知県豊田市 | 918.32 | 292.79 | 31.9% |
6 | 愛知県岡崎市 | 387.2 | 155.4 | 40.1% |
7 | 愛知県瀬戸市 | 111.4 | 48.83 | 43.8% |
8 | 愛知県犬山市 | 74.9 | 41.02 | 54.8% |
9 | 愛知県幸田町 | 56.72 | 32.47 | 57.2% |
10 | 愛知県豊川市 | 161.14 | 102.53 | 63.6% |
犬山は約半分が可住面積
中央自動車道の小牧東ICを降り、旧尾張パークウェイで犬山市の観光地へ向かったことがある人ならイメージしやすいと思われるが、犬山市もかなり山が多い。明治村がある入鹿池周辺は森林が広がり、その付近を通る旧尾張パークウェイは雪で通行止めになることもしばしば。厳冬期では、雪に対応した車でないなら国道41号で向かう方が無難だ。
入鹿池周辺
可住面積で人口密度を求める
人口密度が急増した自治体
地図を見比べて、どこが変わったかお気づきだろうか。人口密度が高くなった幅が大きい順に、岡崎市・瀬戸市・豊田市・犬山市・春日井市と続く。可住地面積で求めた人口密度では、岡崎市と豊山町(愛知県で一番小さい自治体)が同じくらいの数値となった。
名古屋市区部では、天白区・守山区・名東区の人口密度が大きく上昇した。名古屋市は東へ山を切り開いて拡大していった歴史があるが、その影響もあってか東側の区で人口密度上昇がみられた。
面積関係の一覧表
市区町村名 | 通常面積順位 | 可住面積順位 | 順位差 | 可住面積割合 |
---|---|---|---|---|
愛知県豊田市 | 1 | 1 | 0 | 0.32 |
愛知県新城市 | 2 | 9 | -7 | 0.17 |
愛知県岡崎市 | 3 | 3 | 0 | 0.40 |
愛知県設楽町 | 4 | 37 | -33 | 0.10 |
愛知県豊橋市 | 5 | 2 | 3 | 0.84 |
愛知県田原市 | 6 | 4 | 2 | 0.72 |
愛知県西尾市 | 7 | 5 | 2 | 0.85 |
愛知県豊川市 | 8 | 7 | 1 | 0.64 |
愛知県豊根村 | 9 | 62 | -53 | 0.07 |
愛知県東栄町 | 10 | 58 | -48 | 0.09 |
愛知県一宮市 | 11 | 6 | 5 | 1.00 |
愛知県瀬戸市 | 12 | 17 | -5 | 0.44 |
愛知県春日井市 | 13 | 11 | 2 | 0.82 |
愛知県安城市 | 14 | 8 | 6 | 1.00 |
愛知県稲沢市 | 15 | 10 | 5 | 1.00 |
愛知県犬山市 | 16 | 22 | -6 | 0.55 |
愛知県愛西市 | 17 | 12 | 5 | 1.00 |
愛知県小牧市 | 18 | 13 | 5 | 0.89 |
愛知県蒲郡市 | 19 | 23 | -4 | 0.70 |
愛知県幸田町 | 20 | 28 | -8 | 0.57 |
愛知県常滑市 | 21 | 14 | 7 | 0.92 |
愛知県刈谷市 | 22 | 15 | 7 | 0.99 |
愛知県弥富市 | 23 | 16 | 7 | 1.00 |
愛知県半田市 | 24 | 18 | 6 | 0.97 |
愛知県美浜町 | 25 | 26 | -1 | 0.75 |
愛知県知多市 | 26 | 20 | 6 | 0.95 |
名古屋市港区 | 27 | 19 | 8 | 1.00 |
愛知県東海市 | 28 | 21 | 7 | 0.98 |
愛知県南知多町 | 29 | 35 | -6 | 0.72 |
名古屋市緑区 | 30 | 25 | 5 | 0.95 |
愛知県碧南市 | 31 | 24 | 7 | 1.00 |
愛知県日進市 | 32 | 34 | -2 | 0.81 |
名古屋市守山区 | 33 | 32 | 1 | 0.88 |
愛知県大府市 | 34 | 27 | 7 | 0.97 |
愛知県みよし市 | 35 | 30 | 5 | 0.95 |
名古屋市中川区 | 36 | 29 | 7 | 1.00 |
愛知県東浦町 | 37 | 33 | 4 | 0.95 |
愛知県江南市 | 38 | 31 | 7 | 1.00 |
愛知県あま市 | 39 | 36 | 3 | 1.00 |
愛知県武豊町 | 40 | 39 | 1 | 0.91 |
愛知県津島市 | 41 | 38 | 3 | 1.00 |
愛知県阿久比町 | 42 | 41 | 1 | 0.94 |
愛知県豊明市 | 43 | 42 | 1 | 0.95 |
愛知県飛島村 | 44 | 40 | 4 | 1.00 |
名古屋市天白区 | 45 | 43 | 2 | 0.91 |
愛知県長久手市 | 46 | 52 | -6 | 0.80 |
愛知県尾張旭市 | 47 | 46 | 1 | 0.86 |
名古屋市名東区 | 48 | 47 | 1 | 0.93 |
名古屋市南区 | 49 | 44 | 5 | 1.00 |
愛知県北名古屋市 | 50 | 45 | 5 | 1.00 |
名古屋市千種区 | 51 | 51 | 0 | 0.95 |
愛知県東郷町 | 52 | 53 | -1 | 0.93 |
名古屋市西区 | 53 | 48 | 5 | 1.00 |
名古屋市北区 | 54 | 49 | 5 | 1.00 |
愛知県清須市 | 55 | 50 | 5 | 1.00 |
愛知県知立市 | 56 | 54 | 2 | 1.00 |
名古屋市中村区 | 57 | 55 | 2 | 1.00 |
愛知県大口町 | 58 | 56 | 2 | 1.00 |
愛知県高浜市 | 59 | 57 | 2 | 1.00 |
名古屋市瑞穂区 | 60 | 60 | 0 | 1.00 |
愛知県扶桑町 | 61 | 59 | 2 | 1.00 |
愛知県蟹江町 | 62 | 61 | 1 | 1.00 |
名古屋市昭和区 | 63 | 62 | 1 | 0.99 |
愛知県岩倉市 | 64 | 64 | 0 | 1.00 |
名古屋市中区 | 65 | 65 | 0 | 1.00 |
名古屋市熱田区 | 66 | 66 | 0 | 1.00 |
名古屋市東区 | 67 | 67 | 0 | 1.00 |
愛知県大治町 | 68 | 68 | 0 | 1.00 |
愛知県豊山町 | 69 | 69 | 0 | 1.00 |
※この記事の参考とした資料(2020年国勢調査)
まとめ・感想
豊根村の可住面積割合は約7%という低さで大変驚いた。奥三河の3町村と新城市、豊田市は予想が簡単だが、幸田町や犬山市は案外予想が難しいかもしれない。ランキングをクイズにしても面白そうだ。
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